2013年4月3日水曜日

第二回路地ゼミ 「パラメータ」グループ

「パラメーター」グループに関しての報告です。

「パラメーター」グループでは、第一回路地ゼミで議題にあがった路地の奥性について、考察しています。第一回路地ゼミで商業と生活、意識と無意識によって分類され得ない魅力的な路地というものがありました。その魅力の一つの要素を路地の奥性と捉まえ、明暗やカーブ、シンボル等の視覚的な要素をもとに評価しようとしたものを発展しています。

ここでは、奥性を評価するパラメータを、それまでと同様、散布図(二項軸によるダイアグラム)によってつくることを目的にはじめました。
路地の奥性を演出する要素について、先述したようにカーブの度合い、明暗やシンボルの有無などがあげられてきましたが、その他にも段差や開口の数などが考えられます。
二項軸のひとつは「カーブの度合い」とした上で、我々はもう一つの軸を「レイヤーの多さ」と設定し、それら雑多なものをレイヤーをつくる要素として一つの軸にまとめて検討しました。



【図の写真】
横軸をカーブの度合い、縦軸をレイヤーの多さとしている。

ダイアグラムの作成にあたって、一つのイメージに対し個々が感じるレイヤーの多さが異なるものについて、グループ内で議論しました。
そのなかでレイヤーをつくる要素、すなわち奥性を演出する要素の抽出を行っています。

・カーブの角の数
・目地の変わり目
・階段の段数
・人
・壁の凹凸
・明暗の差
・扉、窓の数
・外に出されたプランター
・看板

このように、一度レイヤーという概念にまとめてから再びそれぞれの要素に分解することで、奥性をつくりだす要素を再抽出する余地ができたと思います。

しかしながら、レイヤーという概念によって二項軸のパラメータを実現しようとしてきましたが、このパラメータをもって奥性の強弱を評価することの難しいことや、どうしても二項軸に入りきらない要素が出てくる問題もあり、別の方法を模索する必要がありました。
そこで我々のグループは、最終的にレーダーチャートによるパラメータ作成の提案を発表しました。


【レーダーチャート】
一つの図に写真を分布するのではなく、一つの写真に一つの図(レーダーチャート)を与える。

上のようなレーダーチャートをそれぞれの路地の写真すべてに対して作成し、評価します。その上で、奥性の強弱の評価とレーダーチャートの傾向との間になんらかの関係性を発見できないだろうか、という提案です。
奥性という感覚の問題と、数値化された値との関係を考察することで、感性を数値化し、パラメーターとして表すことの可能性を考えています。

以下質疑応答の議事録です。

塩谷:パラメータを作る話がデザインサーヴェイを思い起こさせる。デザインサーヴェイは表現主義的なところがあって、結局衰退してしまった。パラメータを作って楽しんで終わってしまった節がある。
今回同じようなことをすることで、果たしてデザインまでもっていけるのか。

渡部:そういう危険性があるにもかかわらず、印象論で終わらせないためにまずパラメータが必要だと感じる。それはそれとして、ある意味割り切ってまずやってみることが必要なのでは。デザインが目的ではない。
パラメータというやりかた自体、全てをまかなえるものではない。

伯耆原:写真でパラメータを作ってやることに違和感がある。路地の写真の良さの数値になってしまうのではないか。奥行とかカーブは撮る場所によって変わる。

渡部:それはそう思う。とくに奥行をテーマに扱っている場合、考えていかなければならない。

早田:この作業は敷地模型をつくるようなもの。やらないと始まらない、やりながら発見があると良い。
デザインサーヴェイでもいろいろなパラメータはあるけど、少なくとも路地に対するパラメータはない。
パラメータを作っていく中で、対象もしぼれるのでは。

塩谷:パラメータを客観的なものとして扱っているように聞こえるが、実際は主観になってしまうのでは。

渡部:主観も積もれば客観性が出てくる(笑)
早田:デザインサーヴェイの陥った問題で、客観性を突き詰めれば破綻する。
松岡:前提として良い路地として選んできているものに対して主観が既に入っているので、客観性にこだわる必要はないのでは。

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