2013年4月12日金曜日

第三回路地ゼミ「可変度」


第三回路地ゼミのグループディスカッションにおいて僕たちは、前回キーワードとなり、消化し切れなかった路地における「時間」について、より踏み込んで考えていきました。

これまでの路地ゼミの議論によって浮上した「奥性」「レイヤー」「ずれ」などという言葉が、その言葉自体に路地性を内包しているのに対して、「時間」はあまりに言葉の枠が包括的すぎるので、あくまで路地という枠組みの中で「時間」を捉えていくことは出来ないのかということを考えていきました。

そこで僕たちが新たに設定したキーワードが「可変度」です。
「可変度」は時間の短さ、速さに対して、路地にどれだけの変化があったかを図る尺度です。


「可変度」による定量化

上の写真が今回のディスカッションボードであり、x軸に変化に用した「時間」、y軸に変化の大きさをとって、写真を並べていったものです。

タイ レールマーケット


例えばこの写真で言えば、電車が往来する10~20分という短い時間に対し、線路に沿ったアーケードが発生します。時間の短さに対して変化が大きいので可変度は大きくなります。


Peratalladaの路地


次にこの写真で言えば、一年や季節のサイクルといった長い時間に対して、植物の繁り方、覆い方が変化し、この路地全体の印象を決定していくと考えられます。


Michael kenna

次にこの写真で言えば、明暗のコントラストに富み、奥性を感じさせる路地でありますが、可変度という尺度で解釈をしてみると、長い時間に対して変化が期待できないということが言えると思います。可変度が小さく、魅力的な路地と言えないかもしれないと言う事です。

質疑応答では様々な意見と問題点を指摘していただきました。

・定点での評価にしかならない、写真の評価に留まってしまっている。猫や落書きなどに寄った写真もあれば路地全体の写真もある。要素を抽出したいのか、路地自体を評価したいのかどちらかが不明瞭。路地的なものの評価はできるかもしれないが、路地の評価にはならない。

この意見が出たのは、1つの路地において1つの可変度を示す要素しか抽出しなかったからだと考えられます。前回の「時間」のグループでも似た事を言われたので繰り返しになってしまいますが、1つの路地に対して可変度を示す要素を徹底的に抽出して、「時間」によって分布を作成する。それを様々な路地において行ってみる事で、「良いと思える路地」に要素の集積による一定の基準が表れ、路地全体の評価軸になるかもしれない、と考えます。

・そもそも変化というものが路地を歩いた時に見えてくる変化ではないので、観察者の視点が捨象されてしまっている。

次回の路地ゼミで行う銀座でのフィールドワークによって、歩行体験という時間軸を通すことができるので、この意見に解答できる可能性があると考えます。それに伴って、x軸にとった「変化に要する時間の早さ、短さ」も変わるだろうと思います。

まだまだ発展途上ですが、前回の「時間」の考え方を進展させる事ができたと感じます。次回以降は実際に路地を歩く事によって「時間」を路地に投影していきたいと思います。

文責 伯耆原洋太

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